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落鉄が走行に与える影響は? 質問回答 元馬術選手のコラム

今日(2017年10月15日)の秋華賞で、モズカッチャンがレース中に落鉄していた事が発表された。こういう時、必ず来る質問が「落鉄はどう、走行に影響を与えるのか?」と言うもの。

既に複数の方から質問が来ているので答えていくよ。




結論から言うと、分からない。分かるほどの違いは感じない。

冒頭から結論を述べてしまうと、かなり多くのホースマンがこの質問に対して「分からない」「分かるほどの違いは感じない」と答えると思う。「落鉄がなければ、更に0.2秒速い上がりが使えていた」等と具体的な見解を確定的な表現で述べるホースマンなどいないハズだ。

普通、落鉄は騎乗者自身がその場で気付く事は少ない。大体、落鉄が判明するケースは、洗い馬で脚の手入れをしている時だったり(この場合、後で馬場に落ちた蹄鉄を捜しに行くハメになる)、後ろの騎乗者が教えてくれたりする場合が多い。つまり、騎乗者している本人ですら落鉄の前後で乗り味の違いを体感できないのだ。

「落鉄の影響がある」と思う場合

皆目分からないと言うお答えを返すのも不誠実な気がするので、経験に基づいていくらか書いて行く。但し、私は装蹄師ではないし、装蹄を学科的に学んだ事もない。あくまでも馬乗りの経験談として捉えて欲しい。

1.スッポ抜ける場合

これは特に影響がないと思う。個人の主観的に一番多いと思う落鉄のパターンで、ひねったのか、踏み違えたのか、とにかく蹄鉄がスポーンと抜けて飛んでいってしまう場合だ。この場合、蹄に落鉄痕は残らず、そのまま釘を打った穴だけが残っている感じだ。

キチンと装蹄していたのが、何かの拍子で抜けたのであれば、馬もそんなに気にはしないのではないかと思う。



2.クギが欠落している場合

蹄鉄と蹄は6箇所(だったと思う。違ったらすみません)にクギを打つ事によって固定されている。これがごくたまに1箇所欠落してしまう事がある。つまり蹄鉄は落ちなくても釘だけが何かの拍子で抜けてしまうパターンだ。

これも乗り手としては何とも思わないのだが、馬目線に立つと影響があるのかな?と言う感じがする。

蹄鉄は蹄に均等に負荷が掛かるように装着されている。装蹄する際に蹄を削って整えたり(削蹄)、蹄鉄の形状をその馬に合うよう調節して装着するのだが、これがいびつだと裂蹄の原因になる。本で読んだ所によると、こういう場合は裂蹄する確率が結構跳ね上がるらしい。

6箇所で固定してるクギが欠落して5箇所になってしまうと、蹄への負担に不均等が発生し、馬が走りにくさを感じたりはするのではないか、と思う。

3.蹄が破損して落鉄する場合

落鉄が発生した時に、落鉄痕を確認すると、クギ周辺の蹄壁が破損している事がある。クギが抜けた時に損傷したのか、走っている時に損傷して、その結果クギが抜けて落鉄したのかは分からないが、こういう落鉄パターンは結構多く見る。

原因は装蹄のミスだったり、そもそも蹄がモロくなっていたりしたのかとも思うが、これも一気に落鉄していると言う点では1と同じであり、そんなに影響するとは思えない。

4.蹄鉄がグラついている時

これは確認不能な事象で個人的な考えだけど、落鉄は全てのケースで突然発生するものではなく「走行時の衝撃などで蹄鉄の装着が緩む→蹄鉄の緩みが累積した結果落鉄が発生する」事もあると思う。

こういう状態だと、蹄鉄がグラついている状態である程度走っている事になるので、馬も走りづらいのではないかと思う。



5.蹄鉄がズレている時

2014年のオークスで2着に入ったハープスターは蹄鉄のクギが数ヶ所外れてしまっており、蹄鉄が視認可能なほどズレて走っていた。これはさすがに影響があったと思う。

下写真はハープスターのオークスでの左前脚の不完全落鉄。3で述べた蹄壁の破損は確認できる。

この場合、馬も相当走りづらく、さっさと外れてくれた方が絶対に馬も走り易いと思う。

これは最後まで蹄鉄が蹄についていたケースだけど、多分、このまま走っていたらどこかのタイミングで落鉄したと思う。つまり裏を返すと、このケースに限らず、落鉄に至るまでに幾らかの時間、このような状態で馬が走っている場合があるのではないか、と言う事も考えられると思う。そうするとやはり馬が走りにくいと言う事にはなると思う。

1~4は体感不能 5も体感は難しいと思う

1~5まで、落鉄のパターンを個人的に考察してみた。実際こういうパターンで括れるものでもないのかも知れないが、経験上こういうケースがあると思う、と言う事だ。

少なくとも、5の時は分からないが、1~4の場合は乗り手が違いを体感するのは難しいと思う。正直、5ですら怪しいと思う。

ただ、馬目線に立って考えると「やはり走り辛いケースはありそうだな」と言う結論に改めて行き着く。とって付けた正論になるかも知れないがやはり落鉄は発生しないに越した事はないと言う事になる。

終わりに

落鉄は騎乗者が気付きにくい以上、どういうパターンで落鉄が発生しているのかも中々、分析、分別は難しいのが現状だろう。

「もっと装蹄の精度が上がれば良いのに」と思われる方もいるかも知れないが、装蹄師さんは馬の蹄を守るために本当に細かい所までチェックして、蹄や蹄鉄を整えている。傍目に見ている方としては「(装蹄中にも馬は動くのに)どうしてこんなに綺麗に蹄や蹄鉄を整えられるんだろう」と息を呑むほどの技術だ。

落蹄の詳細な原因分析はもっと科学が進歩して、例えばJRA競馬総研がやっているような、蹄と蹄鉄の間に衝撃を計測出来る装置を現役の競走馬に標準的に装着できるくらいにならないと難しいのかもしれないな。

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