★★★★超重要なお知らせ★★★★ アクセス過多でエラーが頻発する状況を鑑みて、ブログを別個新設しました。今後は、新 元馬術選手のコラムにて発信を行ってまいりますので、宜しくお願いします!!

質問回答:鼻孔の大きい馬は強い? 元馬術選手のコラム【競馬】

今日はフォロワーさんからの質問に答えていくよ。

質問:一口馬主に出資しようと考えています。色々と馬を選んでいる最中なのですが、鼻の穴の大きい馬は酸素を確り取り込めるため強いと、何かで読みました。アラシさんはどう思われますか?ご意見をお聞かせください。




馬の体の仕組みを説明していく

とりあえず、質問に対する端的な回答としては、鼻孔の大小と馬の能力の相関関係は全く無いか、殆ど無いと言ってしまって問題ないと思う。

馬の呼吸器・循環器の構造について、ちょっと説明していこう。

馬の心臓は体重の1%、肺は体重の1.5%、赤血球濃度は人間の倍

馬の持久力の高さには幾つかの理由があり、よく挙げられるのは心臓の重さだったりする。体重の1%、つまり500㎏の馬だと約5㎏の心臓を有している事となり、馬と同じく高い持久力を誇る人間の心臓が体重に占める割合である0.5%よりも倍以上、比率として大きい。

つまり心臓に蓄えられる血液の量も多く、一度の拍動で押し出せる血流の量も、哺乳類の中では飛び抜けて大きいのだ。

また、取り込んだ酸素を血液と合体させる肺も体重の1.5%に相当し、やはり人間の1%と比べても比率として大きい。

また、赤血球濃度も人間の2倍と、血液が運搬できる酸素の容量も非常に大きい。また、脾臓も発達しているため大量の血液を保有できるので血液が取り込める酸素の絶対量も多いのだ。

つまり、「鼻孔から取り込んだ酸素」を、「大きな肺」で「赤血球濃度の高い豊富な血液」と合体させ、「大きな心臓」で全身に送り出す事によって、循環器・呼吸器の面から見た場合の馬の持久力は構成されている。

鼻孔以外に、心臓、肺、血液と言った体内の仕組みが大きく稼動している面が強く、むしろそういった体内の働きがどれだけ優れているかが重要で、このため、端的に「鼻孔が大きいから、酸素を取り込めるため、強い」とはいえないのだ。

簡単に言うと、たとえば一度の拍動で送り出せる血流が少なくては、当然、余計に心臓を動かさないといけないため、運動が他の馬に比べてしんどくなる、と言う事だ。




汗っかきなのにも理由がある

循環器~呼吸器系以外にも、馬の持久力には秘密がある。

よく、夏の競馬場で汗をダラダラと流してパドックを歩くサラブレッドを見る事があると思う。・・・実は、馬は人間同様、非常に汗っかきなのだ。

人間も高い持久力を持っている事は先にも述べた。人間と馬で共通して高度に発達しているのが「汗腺」だ。馬も人間も、運動して体温が上がると冷却するために多量の汗をかく。このため、長時間の運動でも体温が上昇しにくいため、持久力が高いのだ。

※これ以外に馬が日本で汗をかく理由として、元々の生息地が寒冷で乾燥している場所だから、というのもある。

ここで、誤解しないで欲しいのは「多量の汗をかく馬=冷却機能に富んでいる」という事にはならない点だ。

そもそも、多量に汗をかいている時点で体温が上昇しているのは明白なので(体温が高いから冷却のために発汗する)、それに連動して呼吸や拍動が激しくなっている場合が多い。

激しく汗をかいている馬=呼吸が激しくなっている馬=呼吸と拍動の加速により体内のエネルギーをムダに消耗している、というのが大枠の原理なので、ここは誤解をしないよう念を押しておきたい。




他にメンタル要因もあるんだよな

今までのべた、循環器・呼吸器、冷却の仕組み以外にもメンタル要因によって、呼吸の仕方が変化すると言う点もあるので、非常~にややこしい。

例えば、これまでの記述と一部重複するけど、怒っている馬は体を素早く動かして相手を攻撃できるよう、体温が上がって、その結果発汗を呈して、又、連動して拍動や呼吸量が上がってしまっていて、競走とは関係ない方向に体力を消費してしまっている。

競馬のレースは、一般的には道中は速度を抑えて体力を温存し、直線で速く走るようにしないと勝てない。怒っている馬は、道中でパワーを制御して抑える事は難しいため、どんなに素晴らしい心臓機能や肺機能を持っていても、活かし切れないのだ。

競走においてメンタルの果たす役割は大きい。

もう少し、メンタルが呼吸に与える影響について説明していこう。

怒り以外にも、不安や緊張も呼吸に影響を与える。馬は平常時には1分間に20回程度の呼吸をするのだが、馬運車での輸送中は呼吸頻度が1分間に50~60回まで上昇する。普段は深く大きい呼吸をするのに、緊張した状況におかれると、短く浅い呼吸をするようになり多量の空気を体に取り込めなくなるのだ。因みに10時間を超えるような長時間輸送を行うと輸送熱を発症する事があるのは、浅く頻度の多い呼吸を長時間続けた結果、器官が乾燥し免疫力が低下する事による。

下図:馬運車の走行時と休憩時における、馬の呼吸数・心拍数の変化。JRAホームページより

これも上記同様、高い緊張状態にある馬は十分な呼吸が出来ず、どんなに強力な心臓や肺を持っていても、性能をフルに活かせない事になる。

最後に

これまで、ざっくり循環器・呼吸器・メンタル面・冷却機能と、馬の持久力の組成要因を列挙してみたけど、いかがだっただろうか。

こういう馬の体の仕組みをとおり一辺でも理解してしまうと、鼻孔の大小が馬の呼吸能力に与える影響はそれほど大きくないと言う認識には至って頂けるのではないかとは思う。

正直、POG本や競馬雑誌で馬の見方を解説する際に、こういう学科的な内容を解説しているケースはあまり見ないし、確かに「鼻が大きいから、この馬は良い」みたいに書いている人も多いよね。

馬の見方は人それぞれだけど、この記事で書いたような内容って凄く基本的な事だし、馬に乗っているかどうかは関係なく学習可能なんだから・・・、何と言うか、こういう所に言及しているコメンテーターをメディアであまり見かけないのは何でなんだろう、とは思う事も多いかな正直。ま、一個人としての意見だけどね。


同情するならクリックを! ブログ応援ボタンをクリックして応援をお願いします!人´∀`)人´∀`)人´∀`)




シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする